【理事長からのメッセージ】
2024年,日本は大変なスタートとなりました.元日に発生した令和6年能登半島地震,翌2日に羽田空港で発生した航空機の衝突事故,さらに翌3日に北九州市小倉北区の中心市街地で発生した大規模火災…犠牲になった方への哀悼の意を表するとともに,被災された方々へお見舞い申し上げます.また,少しでも早い復興を祈念致します.
ところで,2日に発生した航空機事故の後には,テレビやインターネットの報道等にてヒューマンファクターという語を聞く機会が増えました.人間工学会はその英称がHuman Factors and Ergonomics Societyであるように,ヒューマンファクターの学会です.もしかすると当学会が率先して声明を出すべきだと考えられる方もおられるかもしれません.しかしヒューマンファクターを専門とする学会だからこそ事象を慎重に扱う必要がある…すなわち事実関係の把握やそれに基づいた分析や提言が必要とされるのです.事象を科学的かつ客観的に捉えることこそがアカデミアの役割だと思っています.
さて2024年,日本人間工学会は設立60周年を迎えます.人間工学が扱う対象(応用領域)は技術や社会の変化とともに少しずつ変化していますが,基本的な考え方は変わっていないと思います.しかし最近,例えば30年前と比べても「人間工学」に元気がなくなってきたように感じます.その理由の1つとして「人間」のことを考えたものづくりやシステムづくりが社会に浸透し,それが当然のことになってきたことが挙げられるでしょう.例えば「使い勝手」について,誰もが議論,批評し,理想像を提案することができるようになってきた昨今,社会的見地から,「人間工学」の独自性や専門性がわかりにくくなってきたのではないでしょうか.そしてもう1つの理由は関連する専門分野(学協会)がたくさん出現したことだと思います.そのような中,必ずしも特定の応用領域を持つわけではない人間工学(逆にあらゆる領域が人間工学の潜在的な応用領域となり得る)は,社会や産業界に,わかりにくさや取っ付きにくさを与えているのではないでしょうか.このような現状を踏まえ,日本人間工学会第8期理事会では人間工学のプレゼンス向上を掲げ,人間工学が,再度,社会に浸透するよういくつかの取り組みを行ってきました.そして本年,設立60周年を迎えるにあたり,さらにいくつかの取り組みや社会に向けた発信を企画しています.人間工学が社会に欠かすことのできない分野であることを社会や産業界に広く再認識して頂けるよう,人間工学に携わる会員のみなさまとともに,「人間工学」をそして日本人間工学会を盛り上げていきたいと思います.
2024年1月 理事長 鳥居塚 崇
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航空人間工学部会 第105回例会(公開講座)
【会期:2024年7月9日】 -
2024年04月24日
関連団体 -
第26回日本感性工学会大会
【会期:2024年9月12~14日】
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